『ろんど』
2021
インスタレーション
「薔薇の名前を忘れても、その薔薇の色や形は残る。犬の名前を忘れたら、その犬は色と形になっていく。地球は丸いので、平面の地図は噓をつく。作品そのものが作品の従うルールをやぶっていく」(作品内テキスト)
手作りの額の犬の絵、地図が描かれた平面2枚、手作りの犬のぬいぐるみ、手作りの王冠、イスやテーブル、クリスマスツリーなどで構成されたインスタレーション。
置かれているものには、それぞれ、「Free~(好きに~していいよ)」と書かれています。イスには「Free sit(好きに座っていいよ)」、テーブルに置かれたお菓子には「Free eat(好きに食べていいよ)」、犬のぬいぐるみは「Free hugs(ハグしていいよ)」、王冠には「Free wear(好きにかぶっていいよ)」などと書かれています。
タイトルのロンド(輪舞)は、繰り返す、ぐるぐる回るという意味で使われています。
テキストの「薔薇の名前を忘れても、その薔薇の色や形は残る。」はロミオとジュリエットのセリフを引用し作者が訳したものです。
「地球は丸いので、平面の地図は嘘をつく。」の部分は、地図を作るとき、必ずどこかを縮めたり、引き伸ばす必要があるという意味です。自分のいる場所を正確に知るための地図という道具には必ず間違いがあるという矛盾を、作者は取り上げています。
ところどころ「Welcom(ようこそ)」の文字があります。
「作品そのものが作品の従うルールをやぶっていく」は、前述した地図の矛盾や、誰でもかぶっていい王冠は王冠として成立しない矛盾など、他にもいろいろな矛盾がちりばめられていることを表します。
An installation consisting of a handmade forehead dog picture, two flat surfaces with maps, a handmade stuffed dog, a handmade crown, chairs and tables, and a Christmas tree.
Each of the items placed has the words “Free” written on it. “Free sit” for chairs, “Free eat” for sweets placed on the table, “Free hugs” for stuffed dogs , “Free wear” is written on the crown.
There are some letters “Welcom” here and there.
The title Rondo is used to mean repeat, spin around.
The text “Even if you forget the name of the rose, the color and shape of the rose will remain” is translated by the author, citing the lines of Romeo and Juliet.
The part “The earth is round, so a flat map tells a lie” means that when you make a map, you need to shrink or stretch somewhere. The author takes up the contradiction that there is always a mistake in a tool called a map to know exactly where you are.
“The work itself breaks the rules that the work follows” means that there are various other contradictions such as the above-mentioned contradiction of the map and the contradiction that the crown that anyone can wear is not established as a crown.